カジノの内装を支配しているのは光です

カジノの施設に入ると、最初に出迎えてくれるのがスロットマシンの行列ですが、施設の内装を際立たせているのが人を魅了する光です。
マシンの間を通りながら、人々が運に賭けている様子を眺めていると、ラスヴェガスに戻ってきたことを実感します。
ラスヴェガスの街では、カジノはごく日常的な風景で、ホテルにはどんなに小さく古くても併設されています。
スーパーマーケットやレストラン、ガソリンスタンドにもマシンが設置されています。
巨大ホテルでは、鎮座の仕方が徹底していて、1階フロアの中央部を占めていて、他の集客施設は、全て低層階の周辺に配置されています。
各施設を行き来する場合、必ずカジノを通らねばならないようになっているので、その独特の内装と共に、自然と連れ込まれるように仕組まれているのです。
施設の内装の光は、通過しようとする人々に興味を持たせ、テーブルやマシンに着いてもらうことにあります。

カジノの施設を歩くとよくわかりますが、天井のあちこちに細やかに輝く光が配置されているのを確認できます。
カードゲームのテーブルの天井には、豪華なシャンデリアが吊り下げられていて、離れた場所からも目が留まるようになっています。
天井から放たれたキラキラした光に思わず誘われてしまうのが、人間の習性です。
スロットマシンなどの上には色鮮やかで独特な形態のオブジェが連なり、歩く人の目線の高さに集中しています。
装飾と遊び心を兼ね備えたものが多く、その下のテーブルやマシンへと視線を誘導するよう配慮されています。
こうした内装は、視覚的な障壁の役割も担っていて、空間を広々と見せるのではなく、小さく分割することで方向感覚を惑わせます。
カジノの施設は、フロアがどこまででも続いているかのように感じさせる内装になっているのです。

カジノの内装に施されている光は、ゲームを始めたプレイヤーにできるだけ長く楽しんでもらう役割も担っています。
カードゲームをするためにスポットライトで照らされたテーブルに座ると、まぶしさをあまり感じません。
テーブルやディーラーの顔は明るく照らされていますが、プレイヤーの顔には強い光が差さないよう設計されています。
視線が下向きになるので天井からのキラキラした光もあまり目には入らず、テーブル周辺は暗いので、周りと隔離された雰囲気をもたらします。
目を疲れさせず、それでいて他に気を逸らすことなく、長時間くつろげる環境作りが施されているのです。
ビデオポーカーやスロットマシンに座った時も、画面周辺は比較的暗く、シンプルな光があしらわれているので、周りの音もなぜか気になりません。
カジノは日常的な娯楽なので、ゆっくりとくつろげるように作ることが、重要なコンセプトになります。